これまでの経歴と、現在の仕事内容を教えてください。
大学1年次、初めて自分でチケットを買って劇団四季のミュージカル『キャッツ』を観ました。歌はもちろん、舞台と客席の一体感がすばらしくすべてが感動的で、知らないうちに涙が流れていました。思い切って次の年のオーディンションを受けたところ、研究生として合格しました。在学中で迷いもありましたが、母の「求められたときに行きなさい」という言葉に後押しされて入団。4か月後、『オペラ座の怪人』名古屋公演で初舞台に立たせていただきました。その後『嵐の中の子どもたち』『サウンド・オブ・ミュージック』『エビータ』『人間になりたがった猫』など多くの作品に出演。そして2016年、名古屋四季劇場のこけら落とし公演『リトルマーメイド』ではアリエル役を務めさせていただきました。
順調に主演女優になられたのですね。
3歳からバレエを習っていて、舞台経験はあるつもりでしたが、ミュージカルの舞台は全く違っていて、初舞台は本当に戸惑いました。その後も、なかなか舞台に立てない時期が続きましたし、もともと不器用なので、新しいことを習得するのに人より時間がかかる。けれど、根性だけはあったので、言葉通り寝る間を惜しんで稽古を積みました。「舞台に立ちたい!」その思いだけで必死だったように思います。
思い出に残っている役とエピソードを教えてください。
やっぱり、『リトルマーメイド』のアリエル役は、震えるほどうれしかったです。地元名古屋で、1度しかないこけら落とし公演。それも、3歳のときにアニメの映画を見て「アリエルになりたい!」と、お風呂でなり切っていた憧れの役でしたから。
それとは別に、『劇団四季ソング&ダンス60 感謝の花束』にも特別な思い入れがあります。この作品はミュージカルの名曲の数々を再構成するショウ形式のステージなのですが、なかなか役を掴めない時期に「キャラクターを演じるのではなく、踊り手でもなく、シンガー松元恵美として舞台に立ってほしい」と声をかけていただいて……。学びの多い、そして、自分自身と向き合うことができた貴重な公演となりました。
最も役に立った名古屋芸術大学での経験や学びは?
名古屋芸術大学は、現役で活躍されている先生方の指導を受けられるところが魅力で入学しました。実際に、故・森泉博行先生や名倉加代子先生の授業は、レッスンでしか味わえない貴重な体験でした。バレエを習っていましたが、音楽方面は得意でなかったので、大学で楽典を学んだことも、今、舞台で歌を歌う中で活きています。
また、同じコースの仲間たちと過ごした時間も大切な思い出です。バレエ出身者は私1人で、得意不得意がそれぞれ違うクラスメートは、足りないところを補い合う仲間でありライバルであり、団結力が強かったことをよく覚えています。
この大学をめざしている後輩にメッセージを!
名古屋芸術大学には、すばらしい先生方や充実した環境、良き仲間があり、私は今でも、大学での学びや出会いに感謝する日々です。けれど、ここに入れば夢が叶うというわけでもありません。何事においても自分次第。志を忘れず過ごしてくださいね。そして、時に挫折しそうなこともあるかもしれませんが、自分を認めてあげられるのは自分だけということも覚えておいて。自分の想いや可能性を、あなた自身が信じて、自信をもって取り組みましょう!