名古屋芸術大学を選んだ理由は?
高校時代から美術に興味があり、絵を描くことをもっと極めたいと思っていました。洋画を描いた経験もありますが、基本的な材料が天然由来の素材である日本画が肌に合うな、と…。
名古屋芸術大学の日本画コースには、いろいろなタイプの先生がいらっしゃって、学びが深められると思いましたし、自由に絵を描くことが許される雰囲気だと感じました。愛知県内で、自宅から一番近いというのも幸いでした。
所属コースで今一番力をいれていることはなんですか?
日本画で使う素材を研究し、作品の材料をいろいろ試しています。日本画はもともと、楮紙(こうぞし)や麻紙(まし)などに、岩絵具や染料などの天然絵具を用いて描く技法が一般的とされてきました。とはいえ、明確な定義やルールはありません。厚みや材質によって絵具の染み方やにじみ方が変わってくるので、今はいろいろな種類の和紙を研究し試しています。自然素材を活かした画法で、自然と共存していると感じられるあたり、やっぱり日本画は良いですね。
将来の夢や目標はなんですか?
将来の夢と聞いてまず浮かんだのは、テレビ番組『情熱大陸』に出ることです(笑)。しかしそれは、ミーハーな気持ちばかりではありません。海外でも通用するほどの日本画家となり、相応の方々に認めてもらいたいという思いが根底にあってのことです。
現代は生き急ぐ人が多いというか、結果や答えを出すことを急がされることが多いように思うのですが、そんな現代人が落ち着き、癒しを得られるような絵を描けるようになることが目標です。
尊敬しているアーティストはいますか?
雪舟(室町時代の水墨画家)、上村松園、速水御舟、熊谷守一(ともに明治生まれの日本画家)などをかっこいいと思います。共通するのは、常識や通説にとらわれず、また、自分の過去の作品に固執せず、本当に良いと思うことを成し遂げてしまうところです。画家として成功してからも、作風を変えたりほかの人の影響を受けたりという柔軟な姿勢も素晴らしい。最近鑑賞した曽我蕭白の展覧会もとても良かったです。
この大学をめざしている後輩にメッセージを!
高校生であっても、将来どうなりたいかとか、どんな職業に就くのかとか、先のことを考えさせられる世の中だと感じることがあります。でも、急いで結果を出そうとすると、焦ってしまう。現在の自分と向き合うことをもっと大切にしてもいいと思うのです。今、何をしたいのか、どんなことに興味があるのか、自分の心の声に耳を傾けて、難しく考えすぎず素直に取り組んでほしいですね。