これまでの経歴と、現在の仕事内容を教えてください。
大学時代、先生の紹介でテレビ局の美術を製作するアルバイトを始めました。卒業後はそのまま社員として入社し、現在は名古屋のテレビ局で働いています。
番組セットの建て込みとバラシ、本番中のセットチェンジ、小道具の出し入れなどが私の仕事。力仕事が多くて大変なこともあるけれど、チームでひとつのセットをつくり上げるのは毎回楽しい。最近ではセットの背景に飾る絵画を描いたり、小道具を手作りしたり、得意分野を発揮できるチャンスも増えてきました。
大学では日本画を学び、将来は作家という選択肢もあったと思います。でも私は、自分のつくったものが役に立ったり、誰かを楽しませたりすることに喜びを感じて、この道を選びました。いつか、自分がデザインした番組のセットをつくり、たくさんの人に見てもらうのが夢。今はデザインという新たな分野に挑戦中です。
名芸を選んだ理由は何でしたか?
私は美術科の高校出身ではなく、日本画に触れるのも初めてだったし、膠の溶き方も知らなかったんです。名芸は、1・2年次に画材の扱い方や伝統的な技法、模写といった基本をみっちり学べる点が入学の決め手でした。
日本画の画材は扱い方が難しく、思うような表現ができずに苦労したことも多かったですが、学ぶうちに、そこも日本画の魅力だと感じるようになりました。
最も役に立った大学時代の経験や学びは?
大学では、自分の手を動かして作品をたくさん作ること、そして「考える力」を養うことを意識していました。そのため、実技だけでなく美学や文学、科学に物理、心理学などの学科も積極的に履修。
未知の分野の話を聞くたび、自分の価値観がゆさぶらされる感覚がとても新鮮でした。視野を広げ、思考を深めるきっかけになったと思っています。
いま興味があることや、ハマッていることは?
お散歩がてら動物園へ行き、いろんな動物をスケッチすることは今でも続けています。あとは、通勤にも仕事にも欠かせないスニーカー集め。社会人になって、学生時代は手が出なかったちょっと高いスニーカーも買えるようになったので(笑)。
この大学をめざしている後輩にメッセージを!
大学では、アウトプットに必要な技術は学べますが、作品で表現したいことやコンセプトは自分で掘り下げていくしかありません。いろんなものを観察して、とことん考えて、手を動かして…を繰り返すことで、自分にしかできない作品になっていくんだと思います。
そして、制作に没頭する時間も大切ですが、客観的な視点を知ることも必要。さまざまな分野の先生や友達の意見を聞いたり、一緒に考えたりできるのは、大学で学ぶ最大のメリットだと今になって実感しています。
名芸では、異なるコースの人と関わったり、グループ展に誘ってもらう機会も多く、自分の枠から飛び出してみることで新しい発見がありました。ぜひみなさんも、作品制作を通して、いろいろな人と出会い、いろいろな経験をして、充実した時間を過ごしてください。